ご家族の手のぬくもりに包まれて
こんにちは、訪問看護ステーションひなた鈴木です。
今回は、あるご家庭で感じた「家族の温かさ」が伝わる素敵なエピソードをご紹介したいと思います。
その日いつものように、ご利用者さまのお宅へ訪問しました。明るい雰囲気の中で、ご家族の皆さまと一緒にお身体のケアを行うことになりました。この日は洗髪をご希望されており、ご自宅での洗髪をお手伝いさせていただきました。
洗髪が無事に終わったあと、私から息子さんに髪を乾かしていただけるようお願いしました。初めは少し戸惑いも見られましたが、ドライヤーを手に取ると、丁寧に髪を乾かしてくださいました。その手つきには思いやりが感じられ、そばで見ていた私の心も穏やかになりました。
その傍らでは、娘さんがそっとご本人のそばに寄り添い、手を差し伸べる場面もありました。言葉が交わされなくても、ご家族のあたたかな気持ちが空間全体にやさしく広がっていくような、そんな時間でした。
そんなお子様のお姿を嬉しそうにまた恥ずかしそうに見守られるお父さんの姿にも、また幸せを感じさせていただきました。普段は面白いことを言われる存在のお父さんですが、今回は違った一面を見せていただき私も幸せなひとときとなりました。
髪を乾かし終えたあと、ご本人の表情もとても穏やかで、どこかほっとされたような雰囲気が漂っていました。体調も訪問させていただいたときよりも安定され、気持ちが落ち着いたことが全身の状態にも良い影響を与えているように感じられました。
訪問看護の現場では、ご家族がケアに関わってくださる場面が多くあります。専門的な知識や技術がなくても、「そばにいる」「触れる」「見守る」といった関わりだけで、ご本人にとっては何よりの安心につながるのだと、日々感じています。
今回のように、洗髪という何気ない日常の一場面にも、ご家族の深い愛情が感じられることがあります。私たち看護師は、その時間がより心地よいものになるよう、そっと支えながら見守る役割を担っています。
訪問看護は、医療的なケアを行うだけでなく、ご家族との連携や関係性を大切にしています。ご本人だけでなく、ご家族にとっても安心できる時間を作ること。それが、住み慣れたご自宅で過ごすことの喜びにつながっていくと信じています。
今回のエピソードを共有することにご協力くださったご家族の皆さまに、心から感謝申し上げます。これからも、こうしたあたたかな瞬間を大切にしながら、一人ひとりの暮らしに寄り添ってまいります。
