排便ケアを見直すきっかけに〜POOマスター研修を受けて〜
こんにちは、訪問看護ステーションひなたの黒永です。
今回は、「POOマスター研修」を通じて感じた学びと気づきをご紹介します。
普段の訪問看護の中で、排便ケアはごく当たり前に行っている支援のひとつです。ご利用者様の体調管理や生活の質の維持に関わる重要なケアだということは、もちろん日々感じていました。
ですが今回、POOマスター研修に参加して、「そのケアは誰のためのものか?」という問いを投げかけられたとき、はっとさせられました。
当たり前のように行っていたケアの中に、もしかすると私たち支援者側の都合が入り込んでいたのではないか…。たとえば、訪問の時間に合わせて排便を促したり、下剤を使うことで一時的に安心してしまったり。そのときの支援が本当にご本人の望む形だったのか、改めて考えるきっかけとなりました。
排便という行為はとてもプライベートで、デリケートなものです。だからこそ、そこに関わる支援者として、ご本人の「自然なリズム」や「安心できる環境」を守る姿勢が求められているのだと実感しました。
研修では「排便チェックリスト」を用いて排便の頻度や時間帯、食事内容、排便時の姿勢など、さまざまな視点からその方の排便パターンを見つめ直すことで、無理なく自然な排便へと導く支援ができるという内容でした。
また、下剤に頼りすぎず、腸内環境を整えることの大切さや、リラックスできる空間作り、軽い運動や十分な水分摂取など、生活全体を見渡したサポートが必要だということも学びました。
とても印象的だったのは、「排泄は生活の一部であると同時に、その人の尊厳に深く関わる行為だ」ということでした。どんなに小さく見えるケアにも、心を込めて関わることが、その方の尊厳を守ることにつながるのだと思います。
研修後は、ひなたのスタッフ同士で学びを共有するカンファレンスも行いました。気づきを言葉にして伝え合うことで、私自身も考えが整理され、自信を持ってケアに向き合えるようになったと感じています。
今後は、今回学んだ視点を日々の訪問看護に活かしながら、排便ケアに対しても「その人らしさ」を大切にした支援を行っていきたいと思います。
排便に関することは、ご本人もご家族もなかなか相談しにくいことかもしれません。でも、悩んでいる方は少なくありません。そんなときは、ぜひ遠慮なく私たちにお声がけください。
これからも、ひなたではご利用者様一人ひとりの生活と心に寄り添った支援を大切にしていきます。

